冬のことば
soft_machine
お日さまに焚かれて
雲さま
雨さま
じっと堪えろ
古い旗が 濡れている
港で網が 破れてる
子どもの声が 掠れてる
今朝のはじめての冬は
目をつぶった時の残像が
私が
過去から生きていることを
世界に
繋がれていることを告げ
どの星が
砕けかけているのだろうか
それとも
瓦斯が
集まりつつあるのなら
きっとそこには歌がある
光の流れが掬われた
海に沈むまいと游ぐ
潮に押し戻されまい
砂に溶かされまいと
運ばれながら想い
あそこに見えるのは
あぁ、赤んぼうの頃の私
それを連れてゆくのは
きっと老いさらばえた私
屋根が揚がる空のむこうで
紙が重ねられ
指が探り合い
そこに書かれた 想い
冬は短くて
繰り返せないことば