どらごんのこども
TAT











ちょうど今日みたいな

雨の夜だ

詩が化け物に変わるのは

悲しくて

苦しくて

淋しくて

切なくて

空しくて



まるで


空から撃ち落とされて


殺される前のドラゴンの子供のように




のたうち回って

引っ掻いて

暴れまわって






もがいて

あがいて




そんで炎をちょろっと吐いて




首を落とされる

















心臓は干されて妙薬になり
胃は惚れ薬に
腸は上等なロープに
爪は炒られ磨かれ一等弁論官のバッジになる

皮は靴に
翼は最高級の画材に
脾臓は強壮剤に
角は楽器にされる








































こどもの竜は









死ぬ前の恐怖





石畳の刹那









とびきり美しい和音を偶然







喉から鳴らす












































ちょうど今日みたいな



大雨の日に






詩を書くんなら










死んでも最期まで一気に書け

















駄作でもいいからピリオドをきちんと打て




















じゃなきゃお前詩に憑かれるぞ


呑み込まれて二度と戻って来れなくなるぞ













途中で書けなくなった詩ほど怖いものはないんだ


途中で書けなくなった詩ほど恐ろしいものはない
































































自由詩 どらごんのこども Copyright TAT 2023-11-17 09:31:05
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