父の思い出
りゅうさん

父はお爺さんだ

戦中戦後の食糧難を思い
グルメだなんだと聞くと胸が悪くなると書いていた
食べるものが無ければ何だって、何だって……と

父の母のお婆ちゃんは
それをいい文章だとほめていたが
僕はそうは思わない

作る人の手間とか
人への敬意がまるで
抜け落ちているんだ

そのくせ食事の用意ができたら
二階まで上がって行って
できましてでございます、お父様と
呼びに行ってやっと
うむ、と言って食べる

家父長制の名残

大体、今は戦中じゃない
食べるものはある
この種の人が生み出したのは
戦中の似姿だ

やり切れません
やらなくていいんじゃないかな
そうだね
そうだよぉ

こうして主婦の苦悩をも
知るに至ったのであった




自由詩 父の思い出 Copyright りゅうさん 2023-11-02 05:13:22
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