窓辺
リリー


 桐の葉に 雨が降れば

 涙なく 声なく 
 唯一人
 流るる窓の滴に心あてなく さまよい出でる

 あなたが何処に居ようと
 わたしが何処に居ようと
 生命だけしか上げるものがないと思う二人
 
 そして そのまま何年か経った
 冷やかな瞳で見送った 晩秋の空


  桐の葉に 雨が降れば
  窓辺に思う

 手も触れず
 唇も触れず
 二人は別々に 
 愛の言葉
 投げ出し所に困って居る



自由詩 窓辺 Copyright リリー 2023-10-29 19:16:24
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