sayonara.com 11-20
AB(なかほど)




明けて静かな正月
少し笑顔の戻ってきた母の顔を見て
また あの青空を思いだしてしまい



それから
僕らのパイロット・プラントを吹き抜ける風は
いつでも同じ音になった



笛の音
振り返るばかりの僕には
聞こえず



お前と違って俺なんかただの
月に吠えるような馬鹿
それでもまだここで生きてる



いつものとおりだと泣いてしまうので
美味しいお菓子の作り方で
カレーを作る



君を忘れようとすることと
忘れられないと思うことは
キルクルからのかけがえのない風



このメニュウ
先生の部屋の座卓に置いてあった
原稿用紙に書いてあったこととそっくりだ



あ から ん までのきみのこと
ろくがつ だけが
かすんで る



君の知らない街のひとくちのコーヒーは
僕の気持ちを包もうとしたオブラートを
簡単に溶かした



君が百本の小説を乗り越え眠るころ
僕は一握の詩の前で童貞のままで
国際色の喧騒にしがみつきながらも
同じ月の夢に ニャー と哭く



  
 


自由詩 sayonara.com 11-20 Copyright AB(なかほど) 2023-10-26 08:14:10
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