生きている
由木名緒美
友よ
君に捧ぐ
君の生きた城下町
形而上の異なる螺旋状に生まれ落ちた者たちを越えて
一夏を過ごした命の合図
友よ
君に捧ぐ
あまりに美しい場所の風景画に筆が踊るから
此岸は少し難儀なんだと屈託なく微笑んだ
来世では無礼講で抱き合おう
窮屈な美辞麗句を脱ぎ捨てて
腹を割って明かしたはじめての圏外疎通は星の熱源を放って
僕はもう少し此岸の山奥に噎せかえっていたい
青々と脈打つ緑の鼓動にひたいを震わせていたい
好きだよ
無に等しく
眩い菱形が宇宙に辿り着いて
この胸のなか
君が響いている
さようなら
僕の永遠なる純粋
いつでも繋がる魂をワイファイに繋いでおいてくれ