その次のこと
妻咲邦香

鳥たちに怒られながら、桑の実を摘む
抱えたボウルに次々とほうりながら
これは私のものよと、何度言っても怒られる
何度も何度も、鳥たちは同じことを言う
こちらも負けじと言い返す
だけどすぐに疲れて、私が先に口をつぐむ

生きるために繰り返す
些細なやり取りに生かされている
明日もきっと同じことが繰り返される
だって昨日もそうだったんだから
その前のことは忘れた
だから、明後日のことはわからない
おそらく彼らとは仲良くなることはないだろう
こんな素敵なことってある?

鳥たちは落ちている実を拾う
柔らかい枝にはとまれないから
そうする
私は脚立に乗って摘む
摘んでそして、美味しいジャムを作る
明日がもしかしたら来ないなんて、私は信じない
来週の今頃はきっと全部の実が採り尽くされて
そこでようやく私たちは仲直りする
そしたら少し、さびしくなるだろう
去年もそうだった
来年もきっとそうなのだろう
その次のことはわからない
わからないことはそのままにして

早く明日が来ますように



自由詩 その次のこと Copyright 妻咲邦香 2023-10-16 11:14:58
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