雨の朝
リリー

 或る 雨の朝

 しぶきに打たれる鋪道の

 流れる水の勢いを 感じながら

 あなたを久しぶりに思った


  夏の始めの山は緑だから

  美しいし

  君は 緑の年だから美しい と

  乾いた口づけをしながら囁いて


  冬の始めの海は黒くて

  激しく

  君は海の様だから底知れない と

  去っていった あなた

 (空しい ひとときの春の
  愛の重さは
  生命の中に入り難く
  意識の上にのり難く)
  

 本当に久しぶりに

 なつかしく 憎しみの一かけもなく

 あなたを思い出すことが出来た


 

 


自由詩 雨の朝 Copyright リリー 2023-10-14 09:59:09
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