めざめ
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  めざめ



なにか黒っぽい

いくえにも重ねた

すき間だらけのガーゼ的なにかに

ゆっくりと眠りは

溶かされ絡まりながら

そろそろ吐きだされそう

視界の芯がぼやけ

暗っぽかったのかも知れない

すると黒でなく

すべり落ちそうな

渦だろうか

はっきり回転しないものから

光にはりつけられる

不安定な目ざめ


  *


目が覚めてしまえば
わたしはやはり私である

コーヒーを沸かし
乱暴に歯をみがく
バターが溶けるのを待つあいだ
消えてゆく星をながめ
ほんとうに消えてゆくのは
透明たちの限界
テーブルの端にトーストを積みあげ

背すじを伸ばし
いっぷくつける
そういえばあの人は繭に生まれ変るのだっけ
そろそろ蝶になるだろうか

それとも冬は
もっと硬いだろうか


  *


栞をはさむ

服を着こむ

そこに無意識がはいりこむ

空から切り離された雑踏は

ばらばらになりかけたまぼろしだろうか

翼の音より

アスファルトに摩擦する

それが果たして目ざめだろうか





自由詩 めざめ Copyright soft_machine 2023-10-12 05:51:32
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