未来の私の影
こしごえ

静かに狂う
私を
認めつつ詩を
書いていたのであった
私は昔

こころの底に
流れていた
川の音を
ずっと聴いていた
生まれることが出来なかった私の子は
愛を知ることもなく
やがてたどり着く海で雲の生まれるのを
楽しみにしている
詩だ

生まれかわって詩になったのです。

私の肉体は
一度だけ生まれて、
一度だけ死んだ
私は昔。

いくつものこころは
失われた
でもさ
こころが書いた詩を
雨は繰り返し降る

今は雲になって
光る風に乗り
千切れながら
山を
越える
愛だ





 ※初出 2023.10.06 日本WEB詩人会


自由詩 未来の私の影 Copyright こしごえ 2023-10-08 13:10:26
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