街路樹
たもつ



ひとつひとつ
背中が消えていく
街は少し
そのようなところ
空っぽのエンジンを載せて
車がいつまでも
変わらない信号を待っている
きっと
そのようなところ

駅前で酔った
旧友と酔った
飲み過ぎたと言って
二人、
雲と同じ色に溶けていった
いつでもものに
優しくさわる人
そんなふうに
なりたかった

音がする
振り返る
街路樹が昨日より
色づいている
車道では夕方の
渋滞が始まっている
いらない言葉なら
いっそ
捨ててしまえよ





(初出 R5.10.7 日本WEB詩人会)


自由詩 街路樹 Copyright たもつ 2023-10-08 00:27:12
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