我妻へのラブレター
足立らどみ

我妻へのラブレター

 
初恋のデートで訪れた竹下通り
あの日に入った喫茶店は
何処だったのだろうか

季はゆっくりと移り変わり
刹那にもがき苦しむ人達も
入れ替わり立ち替わり

大きめのコーヒーカップの中の
甘くて苦い思い出のなかに
溶け込んでいるのだとしたら

「私達は歳をとりました」と
30年前の合評会に来た爺婆が
言っていた向かい側の席には

君は座っていない
まだまだ私の横で
若いままです
 
 
2023.10.07


自由詩 我妻へのラブレター Copyright 足立らどみ 2023-10-07 08:15:14
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