天より高い
こしごえ

夕暮時の
晴れた日の西の山の上の
空が蒼く透けた色をしている
死なないで、と
言ってくれた人の声を
思い出そうとした
けれど山は夜をむかえて

死なないで、と
言ってくれた人の思いは
天より高い。夜気は澄み始め
闇は冴えかえってゆく
秋の入口に

星々が光っている
あの星が今も在るのか
遠い遠い 光

光が胸にしみる。他人と自分は
くらべるものではない
他人と自分を
分けるものは
命だ
だが
くらべてしまうのが人
しかし
命をくらべてもある次元では
命にはならないだろう

命の光が今は
チカチカと明滅している
星々の歌は光り
いずれ沈黙をする
自らの光を
みつめつつ





 (初出 2023・9・18 日本WEB詩人会)


自由詩 天より高い Copyright こしごえ 2023-10-01 12:42:55
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