わかりあえない
為作

一緒に行くはずだったこの景色を、

病床の君に見せたかった

写真を1000枚撮って、君に見せた

1000枚目を手にとって、君は息をひきとった

悲しみ超特急が

目の前を通りすぎた

思い出は限りなく

過去に区切りもなく

昨日の忘れ物は

思い出さなくても

いいと思った

もう思い出を勝手に

棄てられないのだから

宇宙の記憶の一番古いところから

涙腺までたった1秒で到達する

未確認飛行物体を

感動と名付けよう

体温が違うから

考え方も違うから

容姿も性別も違うから

なにもかも違うから

一緒に居ることの

その存在価値は

分かり合えないことを

認めることから


自由詩 わかりあえない Copyright 為作 2023-09-28 03:51:28
notebook Home 戻る