蒸発
たもつ



地下鉄の代理人
話をする
針葉樹の先にある
白墨が
フェンスを越えて
生活は届く
少し痩せた体の
影踏み
わたしが書く手帳には
青い空ばかりが
広がっていて
その高さにいつも
苦しくなる
薄く立つ代理人
不定形に剥がれていく
焦げた改札の臭いと
夏から生まれた
最後の陽射し
透明は蒸発する





(初出 R5.9.19 日本WEB詩人会)


自由詩 蒸発 Copyright たもつ 2023-09-20 07:02:00
notebook Home 戻る  過去 未来