秋心 (あきごころ)
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   秋心 (あきごころ)



 息にした けむり色
 ただよう風が見えた
 秋が どう溶けてしまうのか
 一度は知りたかったから
 踊り場で、ほら つむじになれた
 そんな夜

 息に音を 合わせられれば
 海と崖に あらわれる夢
 あなたは そこにいるのだから
 湿りをふくんだ綿毛や 翼で滑る水の斜線
 唇を含んだ旋律は
 秋の音絵巻

 虫の奏でを人が過ごす夜
 酒を歓んだり 回りくどく嘆く夜
 ひとつには近く
 もうひとつに遠い
 あがりそうもない雨 ひろがる旋律
 溶けない心
 彷徨うだけの夜 嫌なのに
 街灯、あとふたつ眠るまで
 朝日が届くまで

 風はいつの間にか嵐
 つかい分けてるうちに 息は
 冷えきってしまった
 忘れようとしても
 はじまった瞬間、ほら 終わりを予感する
 休符を譲らない
 秋の最後の一音に
 あなたは 在るのだからと





自由詩 秋心 (あきごころ) Copyright soft_machine 2023-09-15 10:30:50
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