愛のカクテル
atsuchan69

ステアされた初々しい愛が
縦長のコリンズグラスに注がれる
細身のジレを着た男は、
水滴を纏った美しい緋色の儚い愛を
「どうぞ」
と言って、ボクの目の前に置いた

冷えたグラスの縁には
ライムと淡い声が飾られ、
試しに、唇と舌で触れると
未成熟な、囁く蕾の味がした
泡立つ緋色の愛をそっと口に含むと、
ウォッカと愛の甘さが回転する

緋色を満たしたグラスの底には、
艶かしい声が沈んでいた
微かに震えるグラスへ耳をあてると、
ジレの男が人差し指を立てた
そして唇に指を当て、ナイショと示す
ああ、確かに。

これは人には言えない










自由詩 愛のカクテル Copyright atsuchan69 2023-09-11 09:06:14
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