アビス
soft_machine
やけどした瞬間は
熱を感じるいとまもないというが
その瞬間が延々とつづくものが
子どもなのだとしたら
大人になるのは
残された痛みに苦しむ日々を云うのだろうか
痛みにつぐ痛み
あらゆる日常はくり返されて
終わることを知らない
灼け果てた底なし沼に刻まれた
硬い裂け目もやっぱり底なし
そんな自分をどう未来に導けばいいのだろう
怒りたくはないし
悲しむのはもっと嫌
ずっと積みかさねてきたはずの
決意はばらばらに砕けてしまった
寛容、という一語に救いを見いだし
歩いてきたのだけれど
それ以外のもの
疑いようのないもの
またその歓びについては
いくらでも語れる
今日も私がひとりの人間として生きていて
あなたがあなたであるという
替わるもののない事実を
知っている。生まれた時から
心を覗く者はまた心に覗かれている
そのことばに込められた願いを
私は知ってる。嫌というほど