空言
山本やま
偽物の珈琲を買った
何が偽物って、ポーションタイプだった
別にこだわりなんて無いから、何でもよかった
偽物の仕事を始めた
何が偽物って、給与が出ないタイプだった
別にどこかに属したいだけだから、それでよかった
偽物の恋人ができた
何が偽物って、画面の向こうにいるタイプだった
別にメッセージのやり取りだけで癒されたから、それでよかった
偽物の結婚をした
何が偽物って、会話がドッジボールなタイプだった
別に嫌になれば別れる予定だから、それでよかった
ポーション珈琲は不味いからゲロゲロに砂糖を入れた
余計に不味い、眠眠打破ができた
ほぼ無償でやっていることに文句を言われるから人を増やした、揉め事が増えて十円禿げができた
画面の向こうにいる恋人は会ってみたら不細工だった
連れて歩きたくないから、軽く茶をしばいて帰らせたら立派なストーカーができた
偽物の結婚はもう終わった、ドッジボールもキャッチボールも下手くそ
黙って外野みたいな顔していた
息子には、たまにで良いから会わせてほしいなんて贅沢だろうか
ほぼ偽物な父親に権利はないか