空言
山本やま

偽物の珈琲を買った
何が偽物って、ポーションタイプだった
別にこだわりなんて無いから、何でもよかった

偽物の仕事を始めた
何が偽物って、給与が出ないタイプだった
別にどこかに属したいだけだから、それでよかった

偽物の恋人ができた
何が偽物って、画面の向こうにいるタイプだった
別にメッセージのやり取りだけで癒されたから、それでよかった

偽物の結婚をした
何が偽物って、会話がドッジボールなタイプだった
別に嫌になれば別れる予定だから、それでよかった

ポーション珈琲は不味いからゲロゲロに砂糖を入れた
余計に不味い、眠眠打破ができた

ほぼ無償でやっていることに文句を言われるから人を増やした、揉め事が増えて十円禿げができた

画面の向こうにいる恋人は会ってみたら不細工だった
連れて歩きたくないから、軽く茶をしばいて帰らせたら立派なストーカーができた

偽物の結婚はもう終わった、ドッジボールもキャッチボールも下手くそ
黙って外野みたいな顔していた
息子には、たまにで良いから会わせてほしいなんて贅沢だろうか
ほぼ偽物な父親に権利はないか



自由詩 空言 Copyright 山本やま 2023-08-18 13:16:16
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