雪の華
銀薔薇

iPhoneに入っている
お気に入りの曲をかけ
Bluetoothで飛ばして
天井のスピーカーから
流れ落ちるメロディー

これは夢の中

街路樹の並ぶ道を
誰かと歩いている
枯れた虹を通って
降り注ぐ木洩れ陽

夢とは別に
微かに聴こえる
メロディー
遠い昔に聞いた
記憶
なぜか
切ない
それしか分からない

隣の女性って誰だろう
私が隣にいることを
気付いているのだろうか

夢と音楽が混ざり合って
溶け合うことのない
マーブル模様
曲は二番に入って
少しずつ盛り上がる

青いドレスのその彼女は
一人で先を早足で歩いている

そして
サビに入って
彼女は振り向いた
全く知らない女性
ただ微笑んでいる
でも
サビの歌詞で
誰だか分かった

舞い落ちて来た雪の華が

彼女は雪の華

好きな女の子が
この曲が好きで
二人でお揃いの
機種を買うとね
一緒にこの曲を
着うたにしたの

その女の子からの電話は
この曲が待ちうただった

ドライブの時も
いつもこの曲が
道を照らしてた

もう十年以上この曲を
聴いてなかったんだね

その子は
もう別の場所に
降った雪の華

その子が
これがあなたの香りと
選んでくれた香水
それだけが
今も変わってない


自由詩 雪の華 Copyright 銀薔薇 2023-08-11 21:02:57
notebook Home 戻る