演習
本田憲嵩

砲口のまえで、
つねに張りつめている、
灰色のくもり空のした、
まなざしは玉結びのように、つねにかたく、
未開にもひとしい、山道を、
まるで履きなれない軍靴で、
踏みしめて、
ゆくように、
作業服の下に着た、
白いシャツを、ぐっしょりとさせながら、
実践、
という実弾、
その積極性の小銃の引き金、
に、つねに指で触れながら、
実際にそれを何度も指で引いてゆくのは、
ほかのだれでもない、
それはほかならぬ、
このおれだ、このおれだ、
それはほかのだれかではない、
それは、
コンバットナイフのように、
とても研ぎ澄まされた一週間、
やがて、
鉛のように鈍い空へと向けられる、
大砲の祝祭の轟音、
が、ようやく週末の青空を押しひろげる、
海鳥はかがやく海へと、
解放されて――



自由詩 演習 Copyright 本田憲嵩 2023-08-05 22:38:02
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