村上春樹のデマラジオ
室町

残念ながら村上春樹が今になってユダヤ系の巨大資本にどれほどおべっかをつかってもノーベル賞は永久に与えられないだろう。
イスラエルのエルサレムまで行ってわざわざ「壁と卵 – Of Walls and Eggs」というスピーチをやらかしてしまったのだから。
だれが聴いてもエルサレムで「壁」といえばすぐにユダヤ教徒にとってもっとも神聖な場所である「嘆きの壁」を想起させる。
そんなつもりはなかったといっても通用しない。
イスラエル エルサレムにおいて「壁」はそれほどに人々の意識に巨大で圧倒的な影を投げかける存在だ。現地へ行って
実際に嘆きの壁の前に立ってみなければわからないだろう。
たとえどれほど宗教に無関心な人でもその壁の圧倒的な威厳と神秘の前に畏れおののくはずだ。
村上はその「壁」を「いくら正しくとも」といって否定したのだ。
もちろん村上春樹の真意はそんなところにあったのではない。むしろエルサレム賞に迎合しようとしたのだ。
なぜならエルサレム賞というのはもともと「組織に対抗する個人の尊厳を守る」ことが理念としてうたわれている賞なのである。
村上春樹がエルサレム賞の趣意にそった思想を語ろうとしたのは明白である。しかし例えが悪かった。「壁」を持ち出してしまった。
その前にくどくどとエルサレム賞を受賞するか否か。読者から拒否の嘆願があったとかどうとかの舞台裏まで説明して
(受賞すると決めたのならそんな言い訳をしても相手に失礼だから黙っているべきだと思うのだが)読者に対する自己保身的な言い訳をした上でさらにユダヤ教徒の背筋を凍らせるような「壁」批判を行った。

あ~ああ。やっちゃったよ。とわたしは思った。
ノーベル賞のような政治的小道具としてしか使われない賞など別にどうでもいいが村上春樹応援団は毎年ノーベル文学賞発表シーズンが来ると村上春樹にノーベル賞を! とうるさい。
ノーベル賞を背後で操るのは西側つまり欧米の巨大寡占資本である。そのグローバルな資本家のほとんどがユダヤ系である。
その彼らユダヤ人たちの背筋を凍らせるような発言をわざわざ聖地エルサレムでやらなくとも他の国や場所でもいいのに「壁」がそびえるそのエルサレムでやらかしてしまった。かれらの信仰と政治を味噌糞いっしょにまるめて泥地に棄ててしまったようなものである。本人にその自覚がなくとも──。
イスラエルのパレスチナ攻撃はとんでもないことだが戦争というものはここまで事態が泥沼化すればどちらか一方が正しいとか悪いとかいった善悪二元論で裁断できるものではない。
村上春樹は「卵」の側に立つというが
「壁と卵」という二項対立的な極端な思想を語ったのだからどちらが「卵」であるかという判断の決定には巨大な労力をかける責任があるはずだ。
ところがどうだ。
村上春樹は米国の主要新聞の記事をちゃんと調べようともせず根拠を示さない記事をそのまま信じて米民主党よりの政治的な発言を繰り返している。

ニューヨーク・タイムズといえば「イラクに大量秘密兵器がある」というデマ情報を垂れ流してアメリカを戦争に駆り立て
イラク戦争を勃発させてイラク国民50万人を殺したデマ新聞社である。

“2002年9月8日、ニューヨーク・タイムズはジュディス・ミラー記者による記事で「イラクが過去1 - 2年にウラン濃縮技術に必要なアルミニウム管数千本を入手しようとしていた」という政府関係者からの情報を掲載した。その日チェイニー副大統領はTVでのインタビューで「これは今朝のニューヨーク・タイムズにも載っていた確実な情報だ」と述べ、フセイン大統領の核開発疑惑を訴え、イラク戦争への世論誘導に利用した。後に捏造であると判明するこの情報を流したのは、他ならぬチェイニー副大統領のスタッフ(リビー副大統領首席補佐官)だった。チェイニー副大統領の自作自演である可能性が高かったが、ジュディス・ミラーとニューヨーク・タイムズはこの事実をイラク開戦後もずっと隠蔽していたため「ブッシュ政権の情報操作に加担した」と厳しい批判を受けた。”(wiki)
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8459/

それにしても西側が侵略した場合はいつも「介入」で非G7国の介入はいつも「侵略」と報道されるのはなぜか。
最近村上春樹はそのニューヨーク・タイムズの根拠のないデマ記事を鵜呑みにして次のような発言をラジオで行っている。

 ニューヨークタイムズによれば、彼(プーチン大統領)は、ウクライナの戦争で息子が戦 死したある母親に、面と向かってこう言ったそうです。
 「このロシアでは、年間何万人もの人がアルコール乱用や交通事故で命を落としていま  す。あなたの息子さんは、ウォッカの飲みすぎなんかで死ぬより、ずっと意味ある死に方 をしたのです。」
 まったく凄いことを言いますよね。
 でもね、こういうのって巧妙なロジックのすり替えなんです。
 だって、ウォッカや自動車は、本来、人を殺すために作られたものじゃありません。
 あくまで、付随的な、アクシデンタルな結果として、不幸にして人が亡くなるという結果 が生まれる訳です。
 でも、戦争はそうじゃない。
 戦争は基本的に、人を殺傷することを目的として行われる行為です。
 そういう、本来は同じレベルに置くべきではない事柄を並べて、比較することで、物事を ねじ曲げて、正当化していく。
 (2023年1月29日(日)にTOKYO FMで放送された、「村上RADIO」)

毎年欧州で催される「ノルマンディー上陸記念式典」には世界各国の首脳が集まって式典の最後には広島長崎への原爆投下映像が流される。
オバマなどはその映像を見ながらガムを噛んで笑って拍手している。ただ一人プーチンだけはとっさに十字を切って頭を垂れているのがわかる。
【原爆投下に十字を切るプーチン】
https://www.youtube.com/watch?v=BJ4Ir469DNQ

このように
人の死に敏感なロシア正教徒のプーチンがほんとうに村上春樹がいうような発言をしたのかというとありえない話である。まずは事実を探ってみた。
検索してみたところニューヨーク・タイムスの記事にはなかったがいわゆる政治的なプロバガンダ臭が濃厚なニューヨークタイムズのオンライン映像にその記事らしいものがみつかった。
【プーチンのウクライナ戦争】
https://www.nytimes.com/interactive/2022/12/16/world/europe/russia-putin-war-failures-ukraine.html
一面真っ暗な画面に強調したいトピックスが浮き上がっているといういかにも胡散臭い仕立ての画面があって
その末尾のほうにこう書かれていた。
“11月下旬、プーチン氏はモスクワ郊外の邸宅でロシア兵の母親らと面会した。(中略)
厳選された女性たち(その中には国家公務員や親クレムリン活動家もいた)のための個別のティーポットが置かれた長いテーブルを囲み、プーチン氏はロシア人を死に追いやったことに対して全く良心の呵責を示さなかった。
結局のところ、彼は、息子がウクライナで殺されたと語ったある女性に、毎年何万人ものロシア人が自動車事故やアルコール乱用で亡くなっていると語った。息子は酒を飲んで死ぬのではなく、目的を持って死んだのだと彼女に語った。
「ある人々は、生きているのか生きていないのか?それは不明です。そして、彼らがウォッカなどでどのように死ぬのかも不明だ」とプーチン氏は語った。「しかし、あなたの息子さんは生きていました、わかりますか?彼は目標を達成した。」”

村上が引用した記事とはニュアンスがかなり違うがこれがデマ記事の元ネタであることは一読してすぐにわかる。
プーチンは現在西側世界のあらゆる機関から命を狙われている。
彼が姿をあらわすそのような秘匿の場に果たして米民主党の宣伝機関とすら揶揄されるニューヨーク・タイムズの記者が同席できたのか? 
できるわけがない。よってこれは明らかに真偽不明の風聞である。
いやそもそもプーチンがニューヨーク・イムスが語るようにロシア人に死に良心の呵責を示さない独裁者ならロシア兵の遺族を呼んで話を聴いたりするだろうか。
これまでバイデンがアフガンで死んだ兵士の家族をホワイトハウスに呼んで話を聴いたことがあるか。ブッシュがイラクで死んだ兵士の家族をねぎらったことがあるか。皆無だ。
危険をかえりみずプーチンが兵士の家族を呼んだことは独裁者としてはありえない話ではないか。いや。
広島長崎の原爆投下映像をみて欧米の首脳が軒並み拍手喝采している中でとっさに十字を切ったプーチンだからこそできる行為ではないのか。
ともあれ
村上春樹本人は肉声でプーチンの声を聴いたのか? これまで散々政治的なデマを垂れ流してきたニューヨーク・タイムズの記事を検証もせずにそのまま鵜呑みにしただけである。
それをもとにさもプーチンがそう発言したことが事実のようにラジオで語っている。

これが「壁と卵」などと大風呂敷を広げた男のデマにもとづく根拠のない言説である。
どちらが壁でどちらが卵であるかの大事な決定を
デマ情報によって50万もの大量殺戮を生んだ新聞社のあいかわらずのデマ風聞によって決定している。
こんな男が卵の側に立つ人間であるはずがない。

村上春樹応援団には気の毒だが村上春樹は今後永久にノーベル賞はとれない。
それはこの男があまりにも計算高く卑劣で卑怯な性格のゆえであると断定してもいいだろう。歌人の枡野浩一などは具体的な例をあげて村上春樹の人間性の卑劣さに嫌悪を吐露しているがわたしもようや枡野が彼を嫌う理由がわかった。
村上春樹のあらゆる政治的言説がそれを示しているが今日のところはこれくらいでいいと思う。
村上春樹はとにかくデマだけは慎んでもらいたい。



散文(批評随筆小説等) 村上春樹のデマラジオ Copyright 室町 2023-08-05 16:44:24
notebook Home 戻る