ひぐらしのうた
アラガイs


コンビニで弁当と惣菜をひとつ
缶ビールは明日のためにふたつ 
あとはテレビをつけっぱなしで眠るだけ

冬には窓のすきま風が冷たく
クーラーをつければ部屋から出れない夏
そんな二階のアパート暮らしにもなれてしまった

今日は月曜だと朝刊を見てはじめて気づく
なにもなければカレンダーをめくることもない
もっとも日曜なんてずいぶん前に忘れてしまったけれど

半速球のかけ足でアルバイトに精をだす
脚も腰もわるくて痛いのは毎月の薬代
昨夜通りかかったオヤジの家がやけに廃れて暗かった

哀しい夜には月を追いかけて
狭い小径で猫の眼が光る
ろくでなしだと笑われていた頃も
人でなしだとこころで泣いた日も
おーい、いきちょるか 息を吸って吐いてるか
何かを避けようとして自転車は飛んだ
もう銀杏の樹は枯れてしまったよ
  まだ、まだまだ死んでたまるか と
 草根っこの中で生きてやる








自由詩 ひぐらしのうた Copyright アラガイs 2023-08-04 00:50:51
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