tiny things
竜門勇気


破壊された誇りと
再建されたハリボテ
壊されて悲しかった気持ち
作り直して悲しかった気持ち
tiny
胸ポケットに入れて
そのまま忘れちまうよ
tiny

体のどこにも
そういう場所があるのさ
バランスは失われて
二度と同じにはならない
大聖堂の中で沈黙を

ある日
顔を上げたら
そこに冷たい暴力があった
痛くも熱くもなかった
僕を撮すカメラが振り払われて
地面にたくさん小石が散らばった
一瞬だけ気持ちよくて
たまらなく気持ちよくて
僕は吐瀉した

破壊されていく
朝目が覚めて
消えていくだけの時間の中で
僕は吐瀉した
破壊されていく
僕の体は今日完全から遠ざかる

大丈夫
きっと今まで通りになるよ
明日
また目が覚める
そして窓からとてつもなく大きな光が差して
君は目を閉じるんだ
少し時間をおいて立ち上がり
ストックしているペプシを飲む
顔を洗ってでかけていく
いつもどおりに

元通りにならない
一瞬だって良くなんてならない
僕は自動車を手に入れた
再建された場所と引き換えに
ガソリンスタンドでペプシを買う
窓に打ち付けた板切れから
悪夢がにじり寄る幻想を抱えながら

破壊された場所と
償われた物語
破壊の先にあった物語
償われた物語
tiny
壊されて悲しかったよ
償われて苦しかったよ
tiny

鍵穴から僕を壊すものが来る
tiny
安らげる場所は何もかも壊れている場所
tiny,
tiny.



自由詩 tiny things Copyright 竜門勇気 2023-08-03 23:48:44
notebook Home 戻る  過去 未来