遠き日の記憶に濡れし花鳥画に
火の粉降り染む花明かり
花花（かか）千片の闇の間に
花柄（かへい）震わす蝶模様
花筵（はなむしろ）挿す簪（かんざし）は
唯皓皓と花崗岩
花婿手向くる花林糖
一歳後るる花信風
花咲（はなえ）む花唇花蜜の燭花（しょくか）
花底霞みて飲まれ澄み花


蝶は蜘蛛の巣花は根に
花影焼け落つ花一匁

＊花信風　花が咲いたことを知らせる風
＊燭花　　灯火から飛び散る火片