八月の幻影
ryinx



水の 
なか
に、
泳ぐ


記憶のなかを
 明滅する光
濾過されて
 蒸留する

西へ、
それから再び東へ
ゆく鳥は
籠を抜けて
飛び去った

 八月の日差し
 ムカデの足跡
 トカゲ
 の影。

夏の名残は、
木陰の幻影

 蜂の群れと抜け殻の蝉
 揺れる水面
 蟻の群れに覆われる
 人、の影

廃園の暗がりに
浮かぶ気配

 沈む夕暮れに
 射し込む光
 に、漂う
 胞子
 。


  椅子がひとつ。

いま一度、

  飛び立とうと
  した鳥は
  そこに
  眠る





 


自由詩 八月の幻影 Copyright ryinx 2023-08-01 11:16:31
notebook Home 戻る  過去 未来