プーチン来世
片野晃司



生まれ変わって、小さくなって、街でかわいい服を少しだけ買って、少しだけ仕事して、たまごボーロ分け合って食べて、少しだけの恋愛があって、少しだけ争いと仲直りがあって、春が来て夏が来て春が来て冬が来て、そんなふうに。


もとをたどればみんな一緒。初めの初めはちりだったのだし、あの星もこの星もちりが集まって生まれたものだし、あの山もあの森もあの海も、あの道もあの車もあの建物ももともとはちりが集まって生まれたものだし。死んでちりに戻ってちりぢりになって、風に吹かれて川を流れて、いろんなちりと混じり合ってまた集まって、別の何かに生まれ変わって。


海辺を散歩していたらカメがいじめられていたので助けてあげたら背中に乗れと言うので乗っていくと新生代から大絶滅を超えて白亜紀、ジュラ紀、三畳紀まで行ってまた海辺まで送ってもらって、それから家に帰る途中で人を助けたらその人と結婚することになったがその人は私じつはヘビなんですと言って家出したので追いかけていくと新生代から大絶滅を超えて白亜紀まで行って連れて帰ってきた。家に帰ったら玄関でゴキブリがひっくり返っていたので助けてあげたら以下省略。


桃園で義兄弟の誓いなんて言いながら酒を酌み交わした劉備・関羽・張飛だったが、運悪くそこは不老不死の桃園だったため三人は桃に吸い込まれてしまう。桃の実といえど義兄弟の契を結んだ仲。黄泉の国で力を合わせて魔物を追い払うなど、さすがにただももでない大活躍を見せる。しかしある大雨の日に三つの桃は川へ流されてしまう。一つは下流で洗濯をしていた老婆に拾われ、残り二つの桃の運命やいかに。



自由詩 プーチン来世 Copyright 片野晃司 2023-07-18 15:33:57
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