アイソニアの騎士、立つ(三)
おぼろん

「今、フランキスとイリアスはアースランテに向かっております」
「アースランテだと? 何がそんな行いを引き寄せるのか?」
「祭祀クーラスは、アースランテとの和平を画策しています」
「まさか! クーラントはラゴスの同盟国ではないか!」

アイソニアの騎士は、苦虫をかみつぶしたような顔をした。
そして、盗賊ヨランは続ける。
「イリアスという聡明な少女をトップに据えることで、
 アースランテをクールラントの傀儡政権にしようとしているのです」

「それにしては、イリアスは若すぎるのではないか? 彼女はまだ十三歳だぞ?」
「王族は十歳を過ぎれば、すでに政治的駆け引きの道具になります。
 イリアス様は、とうに国家の道具となっているのです」

「わたしにとっては、イリアスは単なる婚約者である。後に、
 真の恋愛感情も芽生えることだろう。今は、彼女は駒に過ぎない。
 クールラントに我を引き留めるか、アースランテで命を全うするか」


自由詩 アイソニアの騎士、立つ(三) Copyright おぼろん 2023-07-18 00:04:56
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クールラントの詩