なみだ
soft_machine

 落ち葉をひろって
 たったそれだけのことで
 一日が眠りつく
 つらい、けれど大切な別離があって
 急にころがる
 あなたの ひとつぶ
 それを どうか嘆かないで

 中心に感じて
 天秤に載せた
 幸せと不幸せ
 つり合いを待つ蜘蛛に似た息づかい
 まっすぐを求め
 出来ないと知って、咲く花も
 あつめた空気を袋に押さえ

 (確かにある、
  もし見えないのなら
  それは私のことね、と)

 感じたかったのは
 人の間に交わされる
 何気なくなんとない微笑みが
 すり抜けてゆくすき間から
 不意に足場のない
 真空に置かれ
 すべて分かって、それでも落ちる
 感情をせき止めない
 情熱や希いも、きっとある
 あなたを
 きらきらと
 そのなみだに
 閉じこめる

 また、会える
 命ある、あらゆる瞳は泉
 たとえひとつになった小石も
 いつか柔らかい緑に
 被われた流れに
 静かに運ばれ





自由詩 なみだ Copyright soft_machine 2023-07-14 20:46:41
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