月に歩く女
リリー


 かつて
 わたしの掌に
 高々と燃えていた火柱

 それは
 赤く 高く 太く 激しく
 掌で支え切れない程だった

   わたしの顔も 肩も 胸も
 
   焔に染まって輝き 熱せられていた


 何故か解らない
 わたしが

 霧のようです

 次第に細っていった火柱を
 かきおこそうとするのに

   月 出ぬ夜
   風ありて

   月に

   歩いている

 貴方はそれを知らない




自由詩 月に歩く女 Copyright リリー 2023-07-02 03:02:13
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