お地蔵さん
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 都会の片隅に、にっこり
 置いとかれたお地蔵さん
 短い夢にからかわれ
 ビルからまたビル渡り
 錆びた引戸の奥で
 さよならぽつり

 きみはやわらかに抱きしめ
 つつみながら
 たかく背負う
 ネクタイを鉢巻に脱すると
 雑踏に背を向けた
 とっくに都会では
 存在を疑われていたから

  (行き止まりに

   提灯ぶらさげてくわ)

 雨にけずられ
 風にさらわれ
 歩みはことり
 それでも細かなひび割れに笑う
 お地蔵さんは
 確かに石でした
 どこか山を想わせる
 童謡にもある





自由詩 お地蔵さん Copyright soft_machine 2023-06-25 21:54:40
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