サザンオールスターズ
本田憲嵩

とある真夏日、とても楽しくじゃれ合いながら、ともに駐車場まで歩いているみたいだ。アスファルトのうえで羽を休めている早生まれの赤とんぼがその過程でおとこの手に選ばれる。それはまるで透明なうすい玻璃で拵えられたかのような見事なつくりの髪飾りで、彼女のあざやかに染めあげた金髪のうしろ髪に羽ばたきをしながら留まった。とてもおどろきながらもまるで向日葵のような笑みをおもわずこぼし落とす。その赤い髪飾りは真夏の陽の光を浴びて、黄金色の凱歌を忙しなくあげ、やがてななめ上空へと飛びたって行ってしまった。それは真夏のみずいろの空のした巨大化し、まるでジェット機のような唸り声をあげながら、しろい2本のひこうき雲をどこまでも描いてゆく。どうやらそれは南の海岸の方角へと向かっているようだ。それはやがて恋の南十字星になるだろうよ、と横にいるだれかが唄い出した。それはそれはとても切ないメロディーとその見事な歌唱力で。
その日の夕陽はとても赤く、たぶん明日、おれは雨だ。



自由詩 サザンオールスターズ Copyright 本田憲嵩 2023-06-24 23:32:03
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