家路
ひだかたけし

河の流れ、刻々
変わることなく大海に注ぎ
時の流れ、刻々
途絶えることなく生を死に還し

黄昏の街に佇み
天涯孤独のこの身、
静か観て沈潜し
深々と眠る己の霊性、
街に照り返す新緑の影に
幾ばくかの覚醒の責務、
負う我が身を想い眼差す

既に聖なる宇宙へ還った、
あの人この人懐かしみ
あなたの相変わらず
チーズケーキと紅茶、
頬張り啜る若い貪欲に
打ち寄せ返す浜辺の波
その力動 押し寄せ感受し

河の流れ、刻々
変わることなく大海に注ぎ
時の流れ、刻々
途絶えることなく生を死に還し

街の家々にまた明かり灯る頃、
私は魂の静かさと均衡 得て
ゆっくりと確かな家路 辿る





自由詩 家路 Copyright ひだかたけし 2023-06-08 18:21:24
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