五月闇
塔野夏子



もうどこへも逃げてゆけない言葉たちが
こごる五月闇
夏の色が濃くなるごとに重くなってゆく空

その空の重みに耐えかねて
虚ろになる意識
否 虚ろを装う意識

綴るごとにはぐれてしまうページ
どこへ
もうどこへも逃げてゆけない言葉たちは
五月闇に凝り
半透明に震えるばかりなのに






自由詩 五月闇 Copyright 塔野夏子 2023-06-01 11:47:30
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