独り言5.23
ホカチャン

○「死にたくない」

朝トイレに入っていると
近所の一人暮らしの伯母さんから
今朝急に胸と背中が苦しくなったと電話が来た
行くと今度で二度目だという
かかりつけの県立病院に行く車の中で
伯母さんがぽつりと独り言のように言った
「死にたい死にたいとふだんはいうけれどやっぱり少しでも長生きしたかよね」と
病院に着くと降り際に自分の家の鍵を
なぜかわからなかったが車のなかに置いていった
病院に着くとすぐに造影剤を入れての精密検査が
始まった
検査が終わると医者から検査結果が伝えられた
「このまま入院です。血管がぼろぼろです。もう一回痛みが来たら命が危ないです。これでよく生きていたねえ!95歳の高齢なので手術はもう無理です。息子さんには最悪も考えてすぐに来るように連絡しました」
母親は103歳まで元気に生きたという
果たして伯母さんはここを乗り越えられるか
今日も個室で絶対安静であるという
家族との面会は週一回15分だけ、電話もダメという
孤立状態で絶対安静 
精神的にもきついだろうなあ!
人間いつか必ず一度は死ななければならないは
伯母さんの口癖だった

そしてその三日後に永久に帰らぬ人となった

○「高齢出産」
従兄の長女が44歳で出産した
帝王切開のうえ三時間おきに母乳を与えているという
医者の指示だという
電話したら眠くて眠くてしょうがない
あと十年早く生みたかったという
一緒に世話している母親も
あたしもあと十年若かったらという
僕も三時間おきに母乳もらっていたら
もう少しましな人間に育っていたかもしれない
妹は山羊の乳まで飲まされたんだよと前話していた



自由詩 独り言5.23 Copyright ホカチャン 2023-05-23 16:57:07
notebook Home 戻る