ある星
リリー

 クラスメートのMさんは
 その日も
 大学生の彼氏の自慢話ばかりする
 そんな彼女と近頃
 廊下でたまにツーショットだったS君とが中庭で二人
 待ち合わせて下校する姿を見てしまう

 なぜだか よく分からないまま胸に
 憤り 立ちのぼり
 塾からの帰り道 細い 脚はもつれる様で
 寒夜ひとり 軽いめまいを感じた

 風が頬に触れてくる

 きらびやかでない わたしは
 何という星座に属しているのかも
 誰も知らない
 わたしの光なぞS君も知らない

 紺碧の冴えわたる大気に 仰ぎ見るオリオン

 天壤無窮であるかのように輝く狩人だけが
 怒りにゆれ惑う稚い正義、を
 見まもっていた
 


自由詩 ある星 Copyright リリー 2023-05-15 09:30:12
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