うすいはなのいろ
あらい
小煩いの壁紙にはエロチシズム
なにかを、
芳しく、
静まるような。
涙色のレザーソファには
矢車菊が まだ、薄暗い陽に
セントバーナードが眠りに落ち
小花をあしらったわたしの
___裾を踏んで
ないているのを知っている
見上げてみれば、
少しも動けない。
薄花色のそらに、鳥が 凛と鳴り
「どちらさまでしょうか」
ばかばかしく
漂流し始めた慰みが また。
その吃音、
ぬかるみのなかであり
散らかしてしまえればよかったのに
空回りする自転車と、
ろくな色もない絵の具をそのまま設えた
道を見失いかけて、
寝室に明かりも灯りもしない
激しい雷雨のあとに
反転する、
あぜ道の、
おそろしいこと これら はかないものだ