カタツムリライフ
イオン

持ち家で生活に困らない
歩みは遅いが滑らない
どんな場所でも前にしか進まない
アクシデントは殻に入ってしのぐ
食べ物は草木の表皮だから無限
殻の維持に必要な炭酸カルシウムも
街のコンクリートを舐めて賄える

際立つ個性を持っている
陸に住むのに貝である
男でもあり女でもある
体の中にオスとメスの機能を
あわせ持っているので
交尾ではどちらも産卵するし
最悪一人でも産卵する
最先端のジェンダーレス

殻を持ったナメクジなのに
忌み嫌われない
ナメクジはあえて
殻を退化させるという進化で
隙間に入り込む術を身に付けて
世渡りが上手くなったが
塩をまかれるほど
人に嫌われてしまった

理想形のカタツムリライフ
進化形のナメクジライフ
僕も社会に馴染めば
殻が無くなって進化し
忌み嫌われるようになるのか

まだまだ人に嫌われたくないから
コンクリートの辛酸カルシウムを
舐めて生きている


自由詩 カタツムリライフ Copyright イオン 2023-05-12 21:54:26
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