酒豪
リリー
人なんて 一緒に食事してみないと分からない
お酒を飲める人ならば
呑ませてみないと分からない
いつもそう 思っているが
同僚の彼女は呑ませてみても分からない
生ビール中ジョッキ一杯で
いい気分になれる私を誘う彼女は
店で うっかり飲むと呼水になるらしく
制御していて酔うこともない
精算時、実質は割り勘負けしていても
彼女の また私と遊びたい気持ちが見える
飲み方だから許せてしまう
缶ビール数本入ったコンビニの袋を下げる彼女が
駅へ向かう途中
支所の駐車場に植わるハナミズキ
見上げ、足を止めた
「綺麗やね。」
「うん。」
水の流れに
まかせて揺れて
誰と逢うやら
果てるやら
あてどない身の
薄化粧
お互い帰り着くのは待つ人いない暗い部屋