酒豪
リリー

 人なんて 一緒に食事してみないと分からない
 お酒を飲める人ならば
 呑ませてみないと分からない

 いつもそう 思っているが
 同僚の彼女は呑ませてみても分からない

 生ビール中ジョッキ一杯で 
 いい気分になれる私を誘う彼女は
 店で うっかり飲むと呼水になるらしく
 制御していて酔うこともない

 精算時、実質は割り勘負けしていても
 彼女の また私と遊びたい気持ちが見える
 飲み方だから許せてしまう

 缶ビール数本入ったコンビニの袋を下げる彼女が
 駅へ向かう途中
 支所の駐車場に植わるハナミズキ
 見上げ、足を止めた
 「綺麗やね。」
 「うん。」

 水の流れに
 まかせて揺れて
 誰と逢うやら
 果てるやら
 あてどない身の
 薄化粧

 お互い帰り着くのは待つ人いない暗い部屋

 


自由詩 酒豪 Copyright リリー 2023-05-07 08:50:00
notebook Home 戻る