まだ春
soft_machine

あくびで一度とぎれた
ぼんやりとした想像が
ふたたび春らしい匂いをおび
洗われるまま
はなびらとして降る

爪先から土深く送り帰す
耳に触れる波を渡り
押し殺した時間を還す
語感で変換される
容易い感情は
ほんとうの気持ちを知っているのに

薄い硝子に挟み
ゆっくりと眺め
色が退いてゆく姿すら
いつか美しいと
歌にする

願いながら
たぶんもうすぐ
貴方が走って追い抜いてくれると
春を終わらせるのは貴方





自由詩 まだ春 Copyright soft_machine 2023-04-30 15:15:28
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