少年
リリー

 雨の止んだ朝
 影を含んだ滴が
 街路樹のてっぺんから
 次第次第にころがって
 葉っぱをかすかにはずませていた

 背の高い少年が二人
 昨夜みた夢の話か
 声を低めてさわやかに微笑みながら
 その下を通っていった

 足許から呼吸のたびに這い上がる湿気
 ふと 気になった
 わたしの後ろ姿
 冷たい背中をしてはいないか
 からだの重い夜勤明け

 新緑を仰いでみる

 すれ違った少年のみた萌黄色とは
 違っている筈の
 みどりが唯 白っぽくなって
 そこにひろがっていた



自由詩 少年 Copyright リリー 2023-04-21 18:12:30
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