春雨
リリー

 歎くべきだっただろうか

 みずいろの空が
 私の上に落ちかかって来るのを感じた時
 心は
 果のない
 重量感のない
 依リ所のない
 空の中に巻きこまれて
 小さなわたしが
 どうして歎きなど出来るだろう
 あらゆる神経を弛緩させて
 甘んじて その中に喜んでいただけだった

 淡いパープルに白のマーブル模様がやさしくて
 ちょうどMサイズの たまごに似てる
 その花
 ただ並んで在るのではない二本は
 そっと顔を寄せあい語っている
 空の香の中に溺れてしまった
 以前と
 何も変わることがなかったのだ

 傘もなく
 濡れながら
 見る、チューリップ



自由詩 春雨 Copyright リリー 2023-04-16 04:17:23
notebook Home 戻る