水の歌
リリー


 改札口を出ると いく筋もの河が流れる
 灰色の淵に浮かび
 すべらかにいく青をみつけた

 水の歌
 三月も終りの
 生暖かい大気に 還ってゆく
 透明な
 水の歌

 だが 厳しい季節をすぎて
 今
 青は何て寂しいものだろう

 あのエスカレーターを下りれば
 バスターミナル
 青はバスに 乗るのだろうか?

 ショート丈のジャケットと高めなヒールの靴は黒
 セミロングのストレートな黒髪
 細いペン先が描く様な肩から腰と小尻で際立つ
 マーメイドスカート
 
 春のまち に見失った後ろ姿の彼女
 どこかで
 硬質ガラス張りの壁面へ歩み寄り
 ふわふわ 尾鰭をゆらめかしながら外をみる
 青い金魚で
 なければよいと



自由詩 水の歌 Copyright リリー 2023-04-15 13:39:52
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