いきつがない
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 いきつがない


こうすれば曲がる、こうすれば建つ
こうることで進む。これで大丈夫

これも見たことがない種子が
もうひとつぶ欲しいだなんて
昨日に憧れるなんて昨日に嫉妬するなんて

レモン味と謳いながら葱の風味の炭酸水を振って開くとキミがきまって迷い
こむはじめの曲り角\透かされた太陽\溢れる光がいざなうシャワー帰って
くるなら席をあけるからやさしい胸のふくらみや賢い踵でほぐされたのち均
されてしまう窪みを知りたいと思いみんな一括に戦いに投じられ機雷が漂う
海峡をわたる犬を待つ\こんなにゆっくり飛ぶ鳥は見たことなくて\どうし
たらいいのいけないの推奨された雲雀の声でもない選挙の尺でもない\多す
ぎるとんてんかん\延びるやら継れるやら\まだモザイクにしか見えない蟻
の道に先ほど掬われたすみれがひとつ咲く挿しこまれたペン尖もありとある、
見えすぎる世界を、
こんなにも心地よく小さめに描画したもの。
ちひろは子どもだったほんとうのもの。
戦い方は習わなかったらしく喜び方も。
目が覚める度、
力との軋轢が緩和される事に驚く。

傷を縫われ
花びらを積まれ
価値という単語と窒息しそうな仕組みについて
逐次ぼくらが無断で陳列させ
られる訳にちょっとだけ愛情を付け加えられた割引済シール。野球の打棒に
も楓や樺があるんだね撥も最近はひと頃ほど種類が多くなくって通販は無理
ちゃん
と実物を試奏して音程を確かめ
ないとで

息つがない
羨望し待望し後悔しつきまとう理由を炙りあげひきはがしてきた空は時その
ものをつくづく思わせ載せられた掌が描いた円をまた今日も空になぞるあの
日の星の配置がいつも蘇る。忘れるつもりはない家族と家屋はひとつところ
で溶接を許すやさしく包む爆煙の内筒と生存に知られない計画よく出来まし
た見上げるとひとちぎりの雲。烏たちのはく息までがこごえそうな春の影に
怯える枯れた背高泡立草いいって言うのもルール嫌いって釦が押されあっと
遠ざかるのも徴としるしを結ぶ線を踏まずに歩けたらだいたい今日は大丈夫。

黒と白と黒、オレオ
赤と白と赤。トマト
切ってチーズならべた
マスクの裏側
口紅で濡れていた
一頭の海獣が自分を忘れないためにするあくび
機械がなみだを流すあした
それは奇跡かまぼろしのように澄む
ほんとうの悲しみだけで出来た





自由詩 いきつがない Copyright soft_machine 2023-04-05 19:04:20
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