甘い粒たち
由比良 倖


ホワイト・ストライプス
赤と白の縞々
罠じゃないかと思うほどの幸福
空に掛かった旗

揺り椅子
針金の椅子
遺伝子で織られたクッション
コンクリートのブロック



目を瞑ると
あまりに生々しい
僕たちの人形劇は
人形を人形と見ることから始まる

この世に人形があり
人形が人間の理想形として作られたならば
人形がそんなに見詰めるので
見詰め返している僕は何者だろう?



音楽が恋しい
窓に積もる花びら 落ちる 落ちる
本にも フィギュアにも 積もっていく
午後五時のチャイムが鳴る

映像は 僕たちの眼に親しい
けれど僕は暗い印刷の中に逃げる
日本語、英語の中に

このまま
繭に包まれて眠りたい



消えないインクのにおいが好きです

星々のあの藍色は
とろりとしていて
ドット絵のように光る

闇を小さく、潰す、
向こうで
文明がふたつに割れた

瞼の裏側で、海が
零れていく

ここは裏側です
消えない、
インクのにおいが好きです


自由詩 甘い粒たち Copyright 由比良 倖 2023-04-04 01:07:33
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