狂人
幽霊

僕は砂漠を歩いた。足跡が一つもない純白の砂漠だった。
僕は汚れていた。汚れていると思えば思うほどに僕は汚れていた。
綺麗な少女が立っていた。少女は微笑して腕を広げた。
僕は脅迫的に少女を抱きしめたくなった。しかし、それが馬鹿げた必要性だということを僕は自覚していた。
僕は少女を抱きしめた。強く抱きしめた。少女は破裂して水になった。少女は僕の全身にかかった。爽やかな喜びが渦を巻いて足先から頭までを貫いていった。そして、頭のてっぺんから抜けると、途方もない虚脱感が残るのみ。
 僕はこれを一日中、狂ったように反復しています。


自由詩 狂人 Copyright 幽霊 2023-03-10 09:11:28
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