ステーション
あらい

窪みや 暇イトマは 軽率に
、郷愁をはらみ
ワンピースをとおして 
レール上をとびまわる

恵みの雨 
暗夜の光と
もてはやすように

わがままざかりのキミに似ている
なにか知ったような口をきく、

『私』からすこし離れた場所で

側窓に映り込む亡霊が、
素顔は、とうに死んでいて。
前照灯で消された
夜は 誰の目にも 鮮やかな

十字を切るように
着物を羽織った時代が
鼻先ににやあと鳴いて
しずけさにして 目を光らせる
そして瞬く間に 目を瞑って
竪琴を弾くふりをして

(誰も殺したくないから)

平気にできるほど、強い武器を持つとき
些か、ころげながら わらいながら

私は泣いたり微笑ったりしながら
名のなき花に対し
アナタの言う 美術館を埋め尽くす
壁に寄りかかって かげをうみおとします

こすり合わせて破れていく
見ず知らずの誰かを、
へその緒で繋がったはずの

はだかのおんなと、しわくちゃな英字と

おはなしはそこから
すこし 
くぼんだところで

堕天使さまに ひざまずく

もうきれなくなった洋服を手に
歌舞伎町から花園銀座まで
とまることのない残像が
線路上に流れていく


自由詩 ステーション Copyright あらい 2023-03-06 22:47:37
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