地域猫
リリー

 表札が「木戸」とある
 ここで きみはご飯をもらっていて
 今日も玄関先で眠っている

 この間は玄関ドアの傍に並んだ鉢植えに身を寄せて
 うずくまり日なたぼっこ
 きみの瞳が小路へ向いてるときも
 あるよね

 「やあ、三毛ちゃん。」
 膝をついて かざす右手に
 きみは短く鳴いて小さな頭を掌へ寄せてくる
 そんな仕草の可愛らしい
 僕の脚に痩せっぽちな からだをスリスリさせて
 かまって欲しいときもあるみたい

 きみの白く濁った瞳は目ヤニのついた青緑色
 喉にグルグル 何かの引っかかる様な
 かすれる声
 病気なのかな?

 今日は玄関スペースに停められている単車の
 バイクカバーの上で丸まって
 よく眠っている

 声かけずに行こう

 小路の並木は三分咲き
 きみと何度目かの春だよね
 いつまで迎えられるかな



自由詩 地域猫 Copyright リリー 2023-03-06 15:20:13
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