アイソニアの騎士の焦慮(三)
朧月夜
「わたしはてっきり、あなた様がアースランテへ残る理由として、
イリアス様をでっちあげていらっしゃるのだと、思っていました。
すなわち、クールラントへは傾がない理由として。
わたしは、あなたがそれほどまでイリアス様を愛していらっしゃるとは……」
「当然だろう。イリアスはまだ幼な子だ。この世の酸いも甘いも、知ってはいない。
俺は、イリアスの保護者としてあるべきなのだ。
そうして、この世界で生きていくための礎でなければならない」
「本気なのですね、騎士様。しかし、エインスベル様はなんとおっしゃられるでしょう?」
「エインスベルなど、関係ない! 今はイリアスの身柄が最優先だ」
「分かりました、騎士さま。あなたの選択がクールラントを滅ぼすものだとしても、
後悔はないのですね?」そういうヨランの表情は、いつにもまして真剣なものだった。
「当たり前だ。我は、イリアスの未来の夫、グーリガン・ハルガンテ。
アースランテの千人隊長の一人だ!」アイソニアの騎士は声高く言った。
「我の行くところは、このヨースマルテ、アースレジェとともにあり!」
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クールラントの詩