オーバ・ニーチェの戦士エイソス(六)
おぼろん

「安泰なものとなるでしょう」と、戦士エイソスは言った。
しかし、ウルム・ルーランテは懐疑的である。
一人の人間が表に立ったところで、政情や国是は変わるまい、
といった一般的な人の持つような、感想を持っていたのである。

「汝がエインスベルを推すのは、何故か?
 まさか、個人的な縁故の故ではないだろうな?」ウルムが問う。
それに対して、エイソスは一瞬言葉に詰まった。
「それは違います。この世界にはドラゴンたちを手懐ける者も、

 必要だと思うのです。すべてはこの一点から来ています」
「エインスベルなら、それが可能だと思うのか?」と、再びウルムが問う。
「しかし、虹の魔法石などという不確かなものが、果たしてそれを可能にするのか?」

「賭けてみる価値はあるかと存じます」と、エイソス。
「いかん。国家の行く末は確かなものにこそ、託すべきだ。
 不確かな情報にふり惑わされるべきではない」ウルムは断言した。


自由詩 オーバ・ニーチェの戦士エイソス(六) Copyright おぼろん 2023-02-20 17:33:16
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